常緑樹3 私はこう生きたい、と…タイトル「私はこう生きたい、と大声を上げることから始める」(平成12年夏号 2000/6/5) 「情報」という言葉を良く耳にしますが意外に判りにくい言葉です。 明治三四年に森鴎外が、ドイツの兵書の翻訳で「敵情の報知、報告」という意味で使ったのが最初という説が一般的です。 しかし神戸大学の小野厚夫教授によると、明治九年に酒井忠恕という人がフランスの兵書の訳で既に使っていたそうです。 一般の国語辞典には、明治三八年に「ようすのしらせ」などの意味で初登場しました。 もともとが軍用語で、諜報活動やスパイなど、秘密めいた、少し後ろ暗いイメージがあり、どうも普通の生活者にはなじまなかったようです。 長く一般的には認知されませんでしたが、ようやく昭和四十年ごろから広く使われるようになりました。 今、辞書には「ある事柄についてのしらせ―インフォメーション」と「判断を下したり行動を起したりするために必要な知識―インテリジェンス」の二つの意味がのっています。 役立つ情報とはこの後者のことです。 しかし折角、情けに報いるという文字を使っているのですから、私たちはこれを、知りたいという人の気持ち(情け)と、それに応えたいという気持ち(報いる)を表した言葉として捉えていきます。 知りたい受け手と、応えたい送り手がいても一方通行では意味がなく、必要な人に届いてこそ初めて役立つ情報と呼べるのです。 たくさん情報があります。 しかし送り手側だけの都合になっていたり、知りたい形で入ってこなかったり、入ってきても判りにくかったりしています。 また役立つはずの情報も必要のない人にはうるさいだけです。 私たちは物事を判断したり、何か行動したりする時に必要な知識を得るため、情報収集します。 いろいろな情報があるので、全てに目を通し、全てを知ることは不可能です。 必要なものを、必要なだけ入手したいのですが、それも大変難しいことです。 こんな情報氾濫の時代にどう対処すれば良いのでしょうか。 まず、自分がどう生きていきたいか、どう暮らしたいか、また家族ならどう暮らしてもらいたいか、など自分自身の人生設計というか、思いをはっきり表明しましょう。 道具を選ぶときや、家の中を改築するときもそうです。 私はこうしたい、と声を上げてください。 これが第一歩で、この声には必ず「こだま」が返ってくるはずです。 今よりちょっと明るく、ちょっと元気に、ちょっと楽しく過ごしていただくために、私たちは情報を発信し続けます。 情けに報いることのできる本でありたいと願っています。 悠悠人555 |